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心療内科医 姫野友美さんにインタビュー 生薬と入浴について 生薬を使った入浴は 心と身体をほぐすのにおすすめです

医学博士・心療内科医・温泉療法医
ひめのともみクリニック院長
姫野友美 医師

【姫野友美医師についての紹介】
東京医科歯科大学医学部卒業。九州大学医学部付属病院心療内科などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年~2021年 日本薬科大学漢方薬学科教授就任。日本温泉物理医学会温泉療法医。臨床や研究を日々行う傍ら、書籍の出版やテレビ東京系「主治医が見つかる診療所」へのレギュラー出演等、各種メディアにて活躍中。

クリニックでの診察に加えて、テレビ等のメディアでも精力的に活躍されている姫野先生。
心療内科医である姫野先生に、生薬と入浴が心と身体にもたらす効果について、当社日本フイリンスタッフがお話を伺ってきました。

生薬の“薬効”によって温浴効果とリラックス効果を期待することができます

スタッフ
姫野先生は、日本温泉物理医学会温泉療法医の資格をお持ちですが、早い段階から、健康と入浴の関係性について注目をされていたのでしょうか?
姫野先生
私は心療内科医ですが、心療内科の患者様にはさまざまな症状を持った方がいらっしゃいます。1つひとつの問題を解決していこうとすると、西洋医学の場合、頭痛だったら頭痛のお薬、腹痛だったら腹痛のお薬のように、山のようなお薬が出てしまいます。そんな時、総合的に治療をできる方法はないのかと考え、漢方に注目をすることになったのです。漢方は症状に応じて治療をするというのではなく、症状から全身の状態を診て、お薬を処方します。その患者様の気・血・水の流れを診て処方を決めていくので、漢方だと処方するお薬が少なくて済む。結果として、患者様の服薬の負担とコストを抑えられるといったメリットがあります。
また、西洋のお薬では対応できない症状もあるんですね。たとえば西洋薬では冷えを取ったり、免疫力を上げるお薬はないのです。そういった西洋薬では対応することができない症状に対して、漢方は適応をすることができます。
姫野先生
こういった理由から、漢方薬を学び始めました。ストレスがあると、自律神経・内分泌・免疫、3つのトライアングルは全て不調になります。それら全てを解決していく方法を考えた時に、漢方が有効であるという事実に着目しました。
心療内科では痛みを取る治療も大切です。疼痛治療ですと、真先に湯治で有名な温泉が候補に挙がります。今では和温療法と言われる治療もあり、温めることによって血流が良くなり、末梢循環が改善されると痛みは緩和されます。以前から経験的に、温めると痛みが緩和することは分かっていましたが、現代医学でも多くのエビデンスが出ていますね。そういった意味では、入浴・温泉は治療法の1つであり、温泉療法医の資格を取得しました。
スタッフ
ドラッグストア等で安価で購入できる入浴剤が増えてきましたが、そのようなケミカル素材を原料とした入浴剤と、医薬部外品である生薬の入浴剤は、効果効能に違いはあるのでしょうか?
姫野先生
生薬を使用することで期待できることは薬効です。いわゆる一般的な入浴剤には薬効がありません。薬効がある生薬を使ってゆったりと入浴をすることで、温浴効果とリラックス効果が高まって眠りやすくなります。

生薬で入浴をすると冷え症を改善したり自律神経の安定に役立ちます

スタッフ
生薬を使って入るお風呂は、お湯だけで入るのと効果は違うのですか?
姫野先生
お湯だけで入浴するよりも、薬効のある生薬を使用する方が、症状を和らげるさまざまな効果が期待できます。アトピー等のアレルギー肌の場合、水道水は塩素が含まれているので沁みる方がいらっしゃいますが、生薬ではしみるどころかアレルギーの炎症を抑えてくれます。その他にも、トウヒ(ミカン科)は冷え症や肩こり、ショウキョウ(ショウガ科)はむくみ取り、サンシシ(アカネ科)は鎮痛作用、マツブサ(マツブサ科)は冷え症、チンピ(ミカン科)は抗ストレス作用、ハッカ(シソ科)は末梢血管拡張作用、ガイヨウ(キク科)は免疫力向上・ダイエットなどさまざまな効果が示されていますので、これを入浴に使わない手はありません。
スタッフ
女性特有の悩みとして、生理前後の気分の落ち込みや、更年期による心と身体の変化があると伺います。そのような症状には、生薬や入浴は効果が期待できるのでしょうか?
姫野先生
そうですね。末梢血管拡張作用があるので血流が良くなり、冷え症の改善や自律神経の改善に繋がっていきます。更年期の症状は自律神経症状で、交感神経の過剰緊張が存在しますから、自律神経の安定という観点で生薬を使った入浴は効果的だと思います。また入浴すると肌が乾燥しますので、生薬を入れることでお湯がまろやかになり、乾燥を防ぐという点でもお薦めできます。
スタッフ
お風呂でのリラックス方法を教えてください。
姫野先生
仕事をしている時は左脳を使っているんですね。右脳を使うと左脳が休まるんです。お風呂に入る時は、右脳を使うことをすると良いですね。例えば好きな音楽を聴いたり、歌を歌ったり、マッサージしたりして、ご自身が好きな事を楽しみながら入浴をすると、精神的なリラックス効果を高める事ができます。そこに生薬を取り入れる事で、相乗効果が生まれます。

良質な睡眠は入浴が大事な役割を果たしています

スタッフ
現代では、心に問題を抱えている方が非常に多いと伺います。心療内科医として日頃のメンタルケアについて、アドバイスを頂けますか?
姫野先生
温泉療法の効果として、副腎皮質機能の改善が見られます。副腎皮質はストレス対抗ホルモンのコルチゾールを出す臓器ですが、現代人はこの副腎皮質が疲弊している事が多く、これを回復する事によって、精神的リラックスや自律神経を安定させる事ができます。さらに、コルチゾールが上がると、抗炎症、抗アレルギー作用も期待できます。心理的な健康度と身体的な健康度の両方を診る、CMI(コーネルメディカルインデックス)という健康調査表では、温泉療法により身体症状の改善率は73.7%、精神症状の改善率は46.7%というデータが出ています。東洋医学は病気になる前に治療する、つまり「未病を治す」というのが基本概念ですから、温泉療法はピッタリですね。
スタッフ
美についてはどうでしょう?
姫野先生
キレイになるという事は外側の見た目の美しさだけではなく、内側つまりメンタルも良くならないと本当の意味でキレイになれないのです。美しさとは「笑顔でいること」だと私は思っています。笑顔でいるということは脳の状態が良いということなんですよ。脳の状態を良くするにはどうしたら良いか、それは食事・運動・睡眠・休養をしっかり取ることです。そうするとドーパミンやセロトニン等の脳内ホルモンが分泌されて脳の状態が良くなるのです。それが結果として、美容に繋がるのです。
身体は寝ている間に修復されるので、睡眠を十分に取らないと、修復が終わらないうちに次の日を迎え、蓄積疲労になってしまいます。睡眠は貯金することができないので、最近では睡眠負債という言葉が使われるようになりました。負債を抱えすぎて借金が返せなくなり破綻した時が、病気になる時なのです。借金を溜めず良質な睡眠を取るためには、入浴は大事な役割を果たしています。
お風呂に入っている時は、貴重な休息タイムになりますので、入浴時間をご自身の心と身体に向き合う、癒しの時間としてお楽しみください。